ワイヤー・トレーサーの動作原理

配線は壁の裏側、床の下、管内、天井などに張り巡らされており、電気技師はそのほとんどに直接アクセスできません。破損や短絡などの問題をトラブルシューティングする際、推測に時間を無駄にすることはできません。すばやく障害を見つけ、正確に問題を診断し、安全に修正する必要があります。プロ仕様のワイヤー・トレーサーは、住宅、商業施設、産業施設などの環境で正確に作業を実施できるように設計されています。


電気技師はフェイス・シールドとグローブを着用し、電流クランプとワイヤー・トレーサーのトランスミッターを使用して、ジャンクション・ボックス内の配線を検出します。
高度なのワイヤー・トレーサーには電流クランプとトランスミッターが装備されており、回路を高い確度でトレースし、すばやく障害を検出できるように設計されています。


ワイヤー・トレーサーによる配線の検出方法

電気技師は、ワイヤー・トレーサーを使って配線を検出し、回路やブレーカーを識別します。その際、壁に不要な穴を開けたり、配線束や配線路の中で正しい配線を見つけるための推測で時間を無駄にしたりする必要はありません。

ワイヤー・トレーサーには、次の 2 つの部分があります。

  • トランスミッター: 信号を生成して、ワイヤーを通じて信号を送信
  • レシーバー: AC 電流や DC 電流の信号を検出

また、電流クランプやテスト・リードなどのアクセサリーを使うと、トレース対象の配線にアクセスしたり直接接続したりして、信号を送信することができます。

高度なワイヤー・トレーサーでは、トランスミッターとレシーバーの両方を使って、通電/非通電ラインでアクティブに配線をトレースできます。これにより、壁、床、天井の裏や角の周辺の、ワイヤーのルートと方向を正確に検出できます。信号強度スケールを使う、または視覚的に表示すると、ワイヤーの位置が示され、断線や短絡などの障害を精密に特定できます。

また、ワイヤー・トレーサーは、トランスミッターを接続しなくても、通電ラインをパッシブにトレースすることができます。そのため、安全性が高まり、重要な機械をオフラインにすることなく作業を続けることができます。 

高度なワイヤー・トレーサーには自動設定があるため、誤検出をなくし、確度の高い読み値を安定して取得し、時間を節約できます。

ワイヤー・トレーサーに求められること

技術者の中には、ワイヤーの検出にスタッド・ファインダーなどの汎用ツールを使う、またはマルチメーターで導通を検査するも技術者もいます。これらの方法は、ワイヤーのおおよその位置を特定できるにすぎないため、効率も精密さも劣るという問題があります。また、通電ワイヤーには使用できません。配線のトラブルシューティングやブレーカーの識別では、不適切なツールを使うと時間を無駄にして、会社やお客様に余計な費用が発生してしまいます。作業する環境に応じて設計された信頼性の高いツールを使うと、作業効率が高まり、ダウンタイムを最小限に抑えられるため、投資をすばやく回収できます。

ツール・キットとしてワイヤー・トレーサーを選択する際には、次の機能を確認してください。

  • 適切なカテゴリーと定格電圧: 住居用途では一般に、低い電圧定格が求められますが、商業および産業施設では、より高いカテゴリーと電圧定格に対応するツールが必要です。商業/産業用途に対応する高度なワイヤー・トレーサーは CAT IV 600 V 定格に準拠しており、8,000 ボルトになることもある過電圧スパイクから作業者を安全に保護します。電圧定格が低いツールは、操作時に爆発する、または感電が発生し、作業者と周囲の人を危険にさらすおそれがあります。
  • 通電/非通電ライン読み取り: 高度なワイヤー・トレーサーは、通電状態の配線と非通電状態の配線のいずれにも使用できるため、安全が確保され、高感度な機器や重要な機器を可能な限りオフラインにしないで済みます。
  • 実際の状況に応じて柔軟に調整: ワイヤー・トレーサーの設定を微調整して、実際のトレース状況にうまく適合させるほど、ツール性能が向上します。トランスミッターの出力周波数、トランスミッター・モード、トレース・モード、感度レベルなどの機能を選択/調整できれば、最適な組み合わせを柔軟に見つけることができます。
  • 役立つアクセサリー: キットを検討している場合、テスト・リードやワニ口クリップはもちろん、コンセント・アダプター (ブレードと丸型)、追加の信号クランプなど、さまざまな作業に必要なアクセサリーが付属していることを確認してください。
  • 万全のサポート: 機器の動作原理を明確に把握していても、高度なワイヤー・トレーサーの設定は、必ずしも直感的にできるわけではありません。自分の疑問に応え、作業現場でツールを最大限に活用するのを支援してくれる、利用しやすいナレッジ・ベースとカスタマー・サポートがあるツールをご検討ください。
  • 揺るぎない信頼性: ワイヤー・トレーサーは、いつでもどこでも作業に使える状態にしておく必要があります。適切に設計されたツール、第三者機関に認定された IP 等級、落下試験を通過し、過酷な条件下でも安定して性能を発揮するツールをご検討ください。既知のメーカーに、信頼性保証を要求しましょう。

パネル内の配線トレースとブレーカーの識別は、すべての電気技師が使用する重要なスキルです。高度なワイヤー・トレーサーなどの適切なツールは、トラブルシューティング・スキルの向上や作業の効率化に役立つだけではなく、作業時の安全性を高めます。

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